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「ベーカリー バカンス」シェフ・店長。「手に職をつけたい」という思いから、中学生のときにパン屋になろうと決意。パン屋を選んだのは、若くても実力があれば、目立って活躍できそうだったから。専門学校を経て、大阪の有名店で修行。次の学びを求めて就職先を探しているときに、転職エージェントの紹介で、ファイブスクエアに出会う。きっかけは「俺パン屋しようと思ってんねん。やる?」という神尾の一言だった。「ベーカリー バカンス」に立ち上げから関わり、以来、店長を務める。早寝早起き、日課は愛犬の散歩。
ファイブスクエアとの出会いを教えてください。
専門学校を出て、大阪の有名なパン屋で数年修行したんです。先鋭的なシェフがいる、個人経営の小さなお店でした。そこを辞めた後、30歳ぐらいまでに独立したかったので、その前に大手企業に入ってまた別の視点を学びたいなと。それで飲食の転職エージェントに相談したんです。そしたら「おまえみたいに生意気なやつが、入れるわけがない」って言われて。
俺このままだと就職できひんやん、と(笑)。でも妥協して変なところに行きたくなったんですよ。困ってたら、そのエージェントの社長から、「神戸に行く気があるんやったら、おもろいところ紹介したるで」って言われて。それで出会ったのが、ファイブスクエアの社長の神尾さんでした。
書いたことのない履歴書を真面目に書いて、それを持って神尾さんに会いに行きました。そしたら初対面で神尾さんから、「俺小麦つくってて、パン屋しようと思ってんねん。やる?」って言われて。ほなやろうかな、と(笑)。チャンスだからやったほうがいいだろうなと思って、すぐやるって決めました。
実際に物件を見に行ったら、倉庫として使われていた建物で、まだ何にも出来上がってませんでした。神尾さんは「ここでパン屋がしたい」と。この人何言ってんのやろと(笑)。それから半年ぐらいで店が出来て、そこが今バカンスの本店になってます。
神尾さんとは、会ったときから波長が合ったんですか。
神尾さんとはウマが合ったというか、仕事の話をしなくても面白い人やなと思いました。合う合わないとか、自分は人の好き嫌いが激しいんですけど、神尾さんとはなんか合うなとずっと思っていて。最初から楽しくやらせてもらってます。
基本、面白いか面白くないかだけで僕自身も物事を考えちゃうんですよ。神尾さんもそのフシがあって。神尾さんは「今ワクワクできてるかが重要」といつも言っているんですが、その意味が、僕もめっちゃわかるんですよ。自分もそれで仕事を選んできたので。
ファイブスクエアは会社としても、自分だけでなく周りもワクワクできてるかを重要視しています。そういったところも自分の中では重要だったんで、価値観が合ったんだと思います。それはこの会社で働けてよかったところですね。
お店を任されて8年目になりますが、今どんなことを感じて働いていますか。
毎年なんやかんや、新しいことばっかりしてるんですよ。ファイブスクエアに入ってから、面白くなかったことがなくて。毎年、自分の中での「面白い」を更新していってる感覚があります。
バカンスは、ファイブスクエアの中でもいちばんの大所帯です。僕らもずっと店長でいるよりも、僕ら以外にも店長が育ってくるのがいちばんいいなと思っています。自分たち以外にもリーダーシップをとれる人間が増えれば増えるほどいいので、次のリーダーの育成には力を入れて取り組んでいますね。
ファイブスクエアに入って、自分は変わったと思いますか。
最初に入ってきたころは、本当に何も考えてませんでした(笑)。その時その時で楽しければOKという感じで、物事に対して深く考えたことがないというか。前の店では店長でもなかったので、自分さえ上手くいってればそれでOK、みたいな感じでしたね。
今はバカンスで店長をしていることで、いろんな人と一緒に働くことの意味はより深く感じます。よりチームのことを考えたいと思うようになりました。自分の周りの人がどれだけ楽しんでるかとか、そこらへんは重要視してます。勤務時間や休日も含めて、スタッフの働く環境とかはめちゃめちゃ気にはかけてますね。店長としてはそこは大事にしてます。
過去の記事で村本さんは、「職人嫌い」だともおっしゃっていましたね。
「パン職人」と言われて、「レジェンド」だけが注目されて、中堅には目が向かない。そういった業界が嫌やなと思ってきました。「キャリアや年齢なんて関係なくない?」っていうのが自分の考え方です。やり方とか工夫でどんどんそこを変えていって、誰でもパン屋になれるほうがいいなと思います。変に「職人」って言って、入りづらい世界だというイメージをつけちゃうのはよくないなと。
パン屋が憧れられる職業じゃないと、業界は衰退していくと思うんです。「パン屋って朝早いし、体力仕事できついで」って言われるのが嫌なんですよ。「パン屋ってめっちゃ楽しいよな。健康的でめっちゃいい職業じゃない?」って言われるようになれば、それが正解かなと思ってるんです。自分の中でも、業界的にも。
実際自分も朝は早いけど、早寝早起きなだけです(笑)。他の仕事と比べても、絶対健康的で楽しい生活してるけどなって思います。早起きだと1日も長く使えるし、時間の有意義な使い方をできてるかなと。パン屋で働いてる子たちが自信を持って、「パン屋ってめっちゃいい仕事やで」って言えるようになったらいいなと。それが僕が思うパン屋の未来ですね。
これから挑戦したいことはありますか。
バカンスをまだまだ大きくしていきたいです。大きくしたい理由は、パンって生活に密着したものなので、バカンスのパンを食べて育った人を増やしていきたいなと思っています。今30代の人が子供たちとバカンスのパンを食べる。そのバカンスのパンで育った人たちが、また自分たちの子供と一緒にバカンスのパンを食べる。そうやってどんどん広がっていってくれたらありがたいなと思ってます。
そういった家庭を増やしていければ、ファイブスクエアの中での、バカンスの取り組みとしても意味があるのかなと思います。自社で小麦をつくっていることも、安心・安全な食を提供するという、大きな目的に紐付いていくことだと思うので。